英賀神社 公式Facebookページはこちら

西木文庫「英賀保史跡遍歴」

そもそもわが英賀保の土地は、悠久の昔において、出雲民族がその高度文化をもって、慣海民族のアマ族を同化融合して、古代蒼生集団生活の理想的聚落を修理固成した中核基地であり、中世に至って播磨の三大城の1つであった英賀岩繋城が構築せられ、播陽の要衝として栄えた土地であって、播磨文化発祥の聖地であるから、それを立証するに足る貴重な文化財が豊富に伝承されている。ところが近年新らしい時代の脚光を浴び、めまぐるしい都市開発の波に乗って、日一日と急速な変貌発展の中に、これら重要な文化財も漸次湮滅の一路をたどりつつあることは、誠に慨嘆に堪えないところである。今にしてそれらの価値を再認識して、これが保存護持につとめ、ひろくこれを顕彰するに足る方途を講じなければ、悔を後世に残すことは火を見るよりも明かである。
ここにわが畏友・西木馨君は、夙に敬神愛郷の念篤く、かねてここに思いを致し、さきに700年の伝統を誇る英賀神社獅子舞の、まさに頽廃に帰せんとするのを憂え、有志と相謀り保存会を結成して、これが復興の実を挙げ、又同志とともに英賀城本丸趾榎塚、英賀城湟濠趾大木濠、英賀水城趾田井浜に、それぞれ句歌碑を建立して史蹟の保存顕彰に熱意を注がれた。
その間昭和45年9月以来播磨の総合雑誌『駟路』に「英賀保史跡遍歴」を連載し、巻を追うこと実に18号、この執筆にあたってはひろく関係古書古文書を渉猟し、又幾度か綿密周到な実地踏査を行い、更には古老先輩の意見を微し、あくまでも慎重にその正確を期せられたのである。その上、君が天賦の豊かさをもって、膚に感じてものせられた俳句を挿入して錦上花を添えた名文は、とうてい他の追随をゆるさないものがある。
このたび「英賀保史跡遍歴」が1本にまとめられることになったことは誠に欣びにたえない。不肖も亦その志において人後におちるものでないので、請わるままに拙文恥多きをしのんで敢て序文とする所以である。
この書がひろく心ある人に愛読せられて、尊い伝統に恵まれた英賀保の土地が再認識せられ、郷土愛の精神培養の温床となることを祈ってやまない。

昭和47年3月3日

国史見在社 英賀神社宮司  木村 百樹(※昭和47年当時)

 

西木薫氏<俳号冬子>が「英賀保史跡遍歴」を単行本として刊行される事になったのは、実によろこばしい次第である。これは播磨の総合雑誌<駟路>に、18回に亘り連載され、最近完結を見たものである。因みに<駟路>の主宰・三田忠氏(サンダ印刷(株))は、私と同様、姫路少年刑務所篤志面接委員として、矯正教育に尽されている。
著者・西木氏が俳句の道を志向されて<姫路俳句会>に初出席されたのは、50歳を幾つか過ぎて居られた筈である。熱心な作家で、その精進振りは素晴らしく、俳誌<天守閣>に数多くの佳句を発表、数年を出でずして、同人に推薦申し上げた程であった。
著者は実直一筋に生き、曲がったことには毫も妥協を許さぬ性質で、ひたすら郷土愛に情熱を傾け、史跡、文化の保存に精魂を尽くし続けていられる。昭和46年には私費を投じ「英賀城趾榎塚」の史碑を建立し、彼岸の中日に除幕式を挙行され、私も招かれて参列した。また同じ年の秋には<英賀獅子舞保存会>の功績が認められ、善行者の表彰を目的とする<財団法人・姫路揚善会>より表彰を受けられたが、まこと宣なるかなである。著書の内容に触れたいが、この書を読んで頂ければ、著者の意向も判って頂ける筈であり、重複を避けるため省略させて頂く。
この「英賀保史跡遍歴」は、後世まで郷土の貴重なる文献として受け継がれることを、信じて疑わぬものである。なお前記の三田忠氏と英賀神社の木村百樹宮司両氏の、陰に陽に協力を惜しまれなかった善意が、著者の大きな支えとなったことを付記させて頂く。

「英賀城趾榎塚」史碑除幕式にて

「史碑除幕袮宣の祝詞の声うらら

無垢の日に蝶翔ち史碑をかがやかす」  中井 汀火

昭和47年ひな祭の日

俳誌天守閣 姫路俳句会 主宰 中井 汀火

「爽籟や宮千年の松の上
三代に生きて明治の絵馬涼し」
  冬子

nishiki33 nishiki36

 

英賀神社の歴史には弱い筆者ではあるが、青少年時代の思い出は深い。
それは天正から昭和14、5年頃までの神社である。
境内は言うまでもなく、神社前を夢前川から東へ走る馬場には、樹齢数百年と稱された老松も処々に散見され、昼尚暗き緑の彩は里の明日の繁栄を象徴するかに思われた。
夜ともなれば神苑の奥で鳴く「むじな」の声が松籟に和し、宮千年の史を深めるに充分であった。

また秋季祭典には緑の松林を、金銀で飾りたてた5台の屋台と、獅子舞の練り込んで来る様は、実に豪華絢爛得も言えぬ大絵巻であった。
60歳の秋を迎えた筆者は、2度と見る事の出来ない松影と一大絵巻を1枚の絵馬に見る歓びはまことに大きい。

SANYO DIGITAL CAMERA

  • NHK大河ドラマ 軍師 官兵衛 ーゆかりの地紀行ー
  • 厄を払い無病息災を願う厄除け祈願 厄除大祭
  • お子様のお祝いの参拝は英賀神社へ 初宮・七五三参り
  • 播州姫路を彩る秋祭り 秋季例大祭
  • 写真でみる英賀神社
  • 動画で見る英賀神社
  • 文化財・社宝
  • 西木文庫
  • 宮司からのご挨拶
  • リンク集

英賀神社へのアクセスclick

〒672-8080
兵庫県姫路市飾磨区英賀宮町2丁目70
TEL.079-239-6921 FAX.079-239-8063